第33回大会レポート

第33回大会レポート

メディア対抗ロードスターレースとは?

2022年12月3日(土曜日)、第33回メディア対抗ロードスターレースが茨城県の筑波サーキットで開催されました。メディア対抗ロードスターレースは1989年の初開催以来、自動車専門誌やテレビやラジオ、インターネットなどで情報を発信する自動車専門誌の編集者、各誌面へ寄稿する自動車ジャーナリストらがレースを通じて走る歓びを体感し、その愉しさをメディアを通して発信し、自動車文化を育むという趣旨のもと、年に一度筑波サーキットに集まり、4時間の耐久レースを楽しむという歴史あるイベントです。


初代ロードスター(NA型)


2代目ロードスター(NB型)

このレースは初代ロードスターが誕生した1989年に始まり、1998年には2代目(NB型)へと使用車両を変更、そして2005年には3代目(NC型)へ、2015年から現行型のロードスター(ND型)へと歴代ロードスターを用いて行われてきました。レースに使用されるマシンは厳格なレギュレーションのもと全車イコールコンディションが保たれ、タイヤの空気圧以外は一切の改造および調整が禁止されています。つまりレースの勝敗を決めるのはドライバーの技量とチームの戦略になります。

1チームは4名〜5名で構成され、1名の連続運転時間は50分(助っ人ドライバーは連続運転時間40分)。満タン(40L)でスタートし、レース中の給油は1回/20Lが認められています。各ドライバーが4時間という時間をどのように走り、レースフィニッシュまでいかに燃料を持たせ、誰よりも早くゴールするか、そこがこのレースの勝負どころのひとつです。さらにこのレースにはこれまでの実績やドライバーの布陣から主催者がチームごとに定めたハンディキャップも設けています。このハンディキャップによってどのチームにも優勝のチャンスが与えられているため、ゴールするまで結果のわからない手に汗握るレース展開になるのもメディア対抗ロードスターレースの面白いところです。

「クルマ文化を盛り上げる」ために、
みんなで考え、みんなで作る

第31回大会、第32回大会は新型コロナウイルス感染症の予防のため、レース時間を1.5時間短縮した2.5時間の特別フォーマットとし、レース中の給油も禁止していましたが、今大会は3年ぶりの4時間耐久へと戻し、レース中の給油も復活しました。そして参加者、ファンともに何より嬉しいトピックは実際にサーキットでその走りを見ることができる有観客での開催となったことでした。

お客さまと一緒にこのイベントを楽しみ、盛り上げ、そして歴史を繋いでいくために、今大会ではあらためて開催の目的、取り組みについて、参加メディアと3か月に及び4回の検討会を実施しました。そして来場されるお客さま、とくに若者と一緒に「クルマ文化を盛り上げる」施策を実施する必要があるという結論に至り、「楽しむことから文化をつくろう」と、そのきっかけとなるコンテンツを参加者全員で考えました。

予選と決勝レースの間の時間をうまく使い、参加チーム&ドライバーたちに会って語れるふれあいタイムの新設に始まり、記憶に残る思い出づくりの場を提供しようと5歳から参加できるサーキット同乗体験(ロードスターやCX-60の助手席に乗り、レース参加ドライバーの運転でサーキット走行を体験できる)、さらにレース直前の雰囲気をコース上で体感できるプラカードキッズ企画、そして自らレースに参加できる優勝チーム予想クイズなど、レース参加媒体/関係者だけでなく、会場に足を運んだ全ての人が楽しめる企画を実施しました。これらのコンテンツによって決勝レース前のサーキットは例年以上に各所で笑顔が溢れる時間になりました。

訪れた観客全員を魅力した(全員が楽しんだ)
ホンキの耐久レース

澄み切った青空が広がる筑波サーキット、正午を迎えるといよいよ決勝レースに向けたスタート進行が始まります。11時57分にはフォーメーションラップがスタートし、マツダの東堂一義執行役員によるグリーンフラッグにより4時間に及ぶ耐久レースがスタートしました。

今大会の参加車両は22台。通算9度の勝利をおさめ最多優勝記録を持つ「NEKO RACING TEAM」、前大会の覇者「SYE 頑固一徹」、YouTubeチャンネルでもおなじみの河口まなぶ氏が率いる「LOVE CARS! TV! RACING TEAM」、チューニングやサーキットドライビング情報を発信する「REVSPEED」、そしてピストン西澤氏が率いる「J-WAVE RACING」といった強豪チームに加え、マツダの執行役員/開発者による「人馬一体チーム」も参加。さらに28年ぶりのカムバックを果たした「カー・アンド・ドライバー・レーシングチーム」のほか、ブリヂストンのエンジニアで構成される「Team BRIDGESTONE」と「テリー土屋のくるまの話」が初参戦してきました。

レース序盤は予選において3大会連続のポールポジションを獲得した「REVSPEED」、初参戦の「テリー土屋のくるまの話」、自動車整備士を目指す学生たちとともに参加する「FMドライバーズミーティングwith NATS」、大会最多優勝記録を持つ「NEKO RACING TEAM」といったチームがポジション争いを繰り広げながらレースを牽引。中団チームは早々にピットインを行いハンディキャップの消化を行うという戦略。トップグループの中で他と異なる動きを見せたのは「NEKO RACING TEAM」でした。ピットインを遅らせ後続に16秒の差をつけピットインを行い、120秒のハンディキャップを消化。ハンディキャップによるロスを最小限に抑える戦略に出ました。「NEKO RACING TEAM」がピットインをしている間に首位に浮上したのは今大会ハンディキャップのない「CAR GRAPHIC RACING TEAM」でした。しかし同じくトップ争いをする「LOVE CARS! TV! RACING TEAM」と接触。「LOVE CARS! TV! RACING TEAM」は左フロントタイヤをパンク、大幅にポジションを落としてしまいましたが、「CAR GRAPHIC RACING TEAM」の被害は少なく首位をキープし続けました。

スタートから1時間経過した時点でレースをリードするのは「carview!/みんカラ」。これに「CAR GRAPHIC RACING TEAM」、「ベストカーxおと週・新音羽不夜城」、「TEAM ahead」といったハンディキャップのないチームがレースを牽引していきます。その後ろではハンディキャップを消化した「NEKO RACING TEAM」の猛追がスタート。なんと1周で2秒づつトップとの差を詰める走りで、49週目には2番手までポジションを挽回してきます。

折り返しを迎えた2時間経過時点の順位は首位に返り咲いた「NEKO RACING TEAM」を先頭に、「carview!/みんカラ」、「SAMRAI WHEELS x GRAN TURISMO」が続きます。このトップ3はスタートから3時間経過した時点でも変わることなく、「NEKO RACING TEAM」は2番手の「carview!/みんカラ」に36秒もの差をつけながらレースをリードしていきます。

上位陣のポジションに変動が見られたのは残り10分になってからでした。4番手で表彰台を狙い追い上げていた「FMドライバーズミーティングwith NATS」が燃料切れでスローダウン。一方で1.10.289というファステストラップを記録しながら猛烈な追い上げを見せてきた「REVSPEED」が残り7分というところでなんと2位まで浮上してきます。首位まで25秒まで迫ったその直後、「REVSPEED」も痛恨の燃料切れを喫し戦線離脱を余儀なくされてしまいます。

レースはそのまま「NEKO RACING TEAM」が逃げ切り、2020年以来、そして最多優勝記録を更新する通算10回目のレースウィナーとなりました。2位にはグランツーリスモ出身のドライバーが大活躍した「SAMRAI WHEELS x GRAN TURISMO」、3位には終始トップグループで素晴らしいレース運びを見せた「carview!/みんカラ」が入りました。マツダの「人馬一体チーム」は6位、表彰台の常連「J-WAVE RACING」は一時は最後尾までポジションを落とすも4位まで追い上げレースを終えました。

新しい時代への一歩を踏み出した
メディア対抗ロードスターレース

3年ぶりの4時間レースはまさにフィニッシュまで6分というところまで勝利の行方がわからない手に汗にぎる展開となりました。今大会、自らステアリングを握りレース参戦をした専務執行役員の廣瀬一郎は今大会をこのように振り返りました。

「みなさん、今日は大変アツいレースをありがとうございました。最後までいろいろなドラマがありました。優勝したティーポさん(NEKO RACING TEAM)、おめでとうございます。3年ぶりの4時間の耐久レースで、季節も冬、これまで蓄積したデータも使えないという状況で新たな作戦をたて、功を奏したチームが上位に入りました。私たち人馬一体チームは前回の大会で幸運にも3位にはいることができましたが、決して速いチームではないので、前半3人はしっかりと燃料を貯めて、後半の2人に託す作戦でなんとか6位に入賞できました。

業界は様々な環境変化のなかで、地球環境を守る、社会課題への対応など、トランジションの最中です。このなかで、自然吸気のエンジン、マニュアルのトランスミッションをつかって、限られた燃料で速さと効率を追求し、それを競い合うというこのレースの意味は深いものがあると思っています。ND型になってから最初の大会では総周回数が179周だったものが、180周となり、今回は182周となりました。多くのハンデを受けながらこの周回数を記録しているわけですから、人の知恵が結実しているのだと思っています。今の環境のなかで非常に考えさせられる事象と言えるでしょう。

また今回は日本の車文化を高めようと、メディアの方々と何度も協議を繰り返しながら、一緒に見に来ていただける皆様やお子様にも楽しんでいただけるようなイベントを計画しました。そしてお子様の笑顔、ご来場いただいたお客様の笑顔、たくさん見せていただくことができました。そんな点からも今大会は成功したのではないかと思っています。今後もこうした取り組みを改善しながら、進めていきたいと思っています。このレースは絶対にやめません、しつこくやります。多くのお客さまとの絆を深めながらモータースポーツを楽しむ文化を広めていきましょう。

主催者、大会委員会の皆さま、参加いただいた皆さま、そして寒い中支えてくださったスタッフの皆さんに心から感謝いたします。来年は再び9月の開催です。この地で多くのファンの皆様に囲まれながら4時間の真剣勝負を楽しみたいと思っています。来年また皆さんとここでお会いしましょう。ありがとうございました」

第33回
メディア対抗ロードスターレース
レース結果

  • 1位 #27
    NEKO RACING TEAM | 佐藤孝洋 永田郷 斎藤慎輔 橋本洋平
  • 2位 #2
    SAMRAI WHEELS x GRAN TURISMO | 片山右京 ピーター・ライオン 山田和輝 菅原達也 坂本秀平
  • 3位 #88
    carview!/みんカラ | 宇田川敦史 岩館徹 松尾充高 橋本隆志 大河内敦

第33回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース
LIVE中継(YouTube)