メディア対抗ロードスター4時間耐久レース

メディア対抗ロードスター4時間耐久レース

 第30回 「メディア4耐」イベントレポート

 

人馬一体の哲学を体感し、ともに楽しみ語り合う

ロードスターの魅力が凝縮される歴史あるレース

 

9月7日に茨城県にある筑波サーキットでメディア対抗ロードスター4時間耐久レース(通称、4耐)が開催されました。

今年で30回目の開催を迎えるこのレースは、初代ロードスターが誕生した1989年から続く歴史あるイベントです。レース用部品を装着したイコール・コンデションのロードスターを用い、自動車メディア編集者、ジャーナリスト、プロレーサー、そしてファンがサーキットに集い一緒にモータースポーツを楽しみ、人馬一体の哲学を体感し、ともにクルマを語らう文化をつくるということを目的に30年間、毎年開催され続けてきました。

 

「1989年に発売されてから30年、その間(ロードスターは)4代目まで続いてきました。4代目まで続いた理由は色々ありますが、やはり楽しいというのは大きな理由でしょう。クルマをいかにして楽しむか、そのなかのひとつにはレースを楽しむということもあります」と、ル・マン24時間レースを制したマツダ787Bのシャーシ設計開発に携わり、RX-7やロードスターの主査を務めてきた貴島孝雄は語ります。真剣にレースをし、走りを存分に堪能し、ゴールをしたら楽しかったね!と皆でその歓びを語り合える、ロードスターで戦う4耐にはそんな魅力があるのだといいます。

 

 

  

 

ロードスター誕生30周年を記念する大会に

自動車メディアを中心に全24チームが参戦

 

 2019年はロードスターの誕生から30年を迎える年であり、同時に4耐も30回目のアニバーサリーイベントとなりました。この記念すべき年にふさわしく、今年は2011年から参戦するマツダの役員・開発者チームである「人馬一体」に加え、長年このレースをサポートしてきた協賛会社の開発者らで構成される「チーム・サポート・カンパニーズ」が参戦。またMORIZOことトヨタ自動車の豊田章男社長も「トヨタイムズROOKIE RACING」を率いエントリー、各自動車メディアのチームとあわせ全24チームが筑波サーキットに一堂に会し、4時間という長丁場のレースを戦いました。

「チーム・サポート・カンパニーズ」のドライバーを務めるロードスターチーフデザイナーの中山雅は「今年は30周年ということもあり、30年間このイベントを支えてくださった部品・用品メーカーさんと一緒にチームを組むことにしました。これはファンの皆さん、エントラントの皆さんに対して感謝の気持ちを表現するチームとしてふさわしい体制だと考えています。ひとつのクルマ、ひとつのネームプレートが30年間も続けられたというのはひとえに皆さんの応援あってのことだと思います。これはとても重い意味があると思いますし、30年後もこの歴史を続けていくんだという決意が私たちにはあります」と語ります。

  

 

また、4耐初参戦となるMORIZO選手は「凄いことだと思います。日本のスポーツカーの代表選手であるロードスターと日本の自動車業界を応援していただいているジャーナリストの人たちが30年かけ一緒に作り上げてきたイベントですからね。ロードスターは初代から(4世代に渡り)同じカタチ、同じパッケージにこだわってこられた。そのなかで単に馬力を上げていくなどスペックを追求するのではなくて、運転をして楽しいということ、人馬一体の哲学によって、多くのクルマ好きを対象にしているというのは学ぶところが多々あると思っています」とロードスターと4耐に対する想いを語ってくれました。

  

過去最多の参戦歴のある自動車ジャーナリストの斎藤慎輔さんは4耐の魅力についてこう解説してくれました。「モータースポーツって敷居が高いんです。でもマツダがマシンから全て用意してくれて、イコールコンディションのなかで、みんなで戦える。そのなかには通常では一緒に走れないようなプロのレーシングドライバーなど、いろいろな方と一緒に走れるのは4耐の魅力ですね」。さらに今大会での引退を発表されてるベテランドライバーの津々見友彦さん(参戦回数26回)も「4耐はチーム一丸となって、レースを楽しく作り上げていくことができるんですよ。思い出はたくさんありますね、なかでも昨年の雨のレースでトップを走っている時のことは忘れられないですね。去年はハラハラドキドキ、興奮しました。実は昨年でリタイヤしようと思っていたんですが、また走りたくなり・・・こうして今年もここにいられて本当にワクワクしています」と語ってくれました。

 

 

 

クルマをもっと楽しむ文化を作るために

ファンと語らう”おもてなしタイム”を実施

今年の4耐は例年以上にファンとの一体感を大事にするイベントになりました。会場では歴代ロードスターの展示や山本修弘ロードスターアンバサダーによるブランドトークショー、北関東マツダによるロードスター開発者トークイベント、RCカー操縦体験などの催しに加え、今年は決勝レース前におもてなしタイムと題して全参加チームがファンと触れ合える時間が設けられました。来場したお客様は日頃から親しむ各自動車メディアの編集者や執筆陣、マツダの開発者たちと、写真を撮ったり、クルマやロードスターについて直接語り合えるという、特別な時間を楽しんでいただきました。

  

  

 

初代ロードスターが生まれて30年経つんですが、その間こんなにお客様に愛されたクルマはないんじゃないかと思っています。非常に大切にしていただいて、まるで家族のように、恋人のように、一緒にロードスターと暮らしていただいている。本当に感謝したいと思います。ロードスターを作ったとき、僕たちは本当にこんなにもお客様に愛される存在になるとは思っていなかったんです。このクルマの魅力は誰もが幸せになれるということ。お客様と一緒に、これからも大切にしていきたいですし、お客様にもずっとずっと大切にしていただきたいなと思っています」と山本修弘は語ります。

 

 

「ハードだけではなく、メーカーさんがソフトも提供しているというのが良い姿勢だと思いました。夜まで楽しめますし、こういう華やかな雰囲気はなかなか見ることもないので楽しませてもらいたいと思います」、「2年前に初めてきましたが、2年前はまだ子供が小さくてクルマもわかっていなかった。それから2年が経って息子が小学生になり、だいぶクルマ好きになってきたのでまた連れてきました。間近でみて驚いている様子でした。」、「来て見ると乗ってみたいなと思いますね」などと来場されたお客様のコメントからも4耐が単なるレースイベントではなく、ロードスターを通じてクルマを楽しむための”何か”を見つけられるイベントであることがわかります。

  

 

決勝レースでマツダチームが大健闘

3時間に渡りレースを牽引する展開に

 

決勝レースは日が傾き始めた午後4時にスタート。レース序盤は予選上位から決勝レースに臨んだ27号車NEKO RACING TEAM、86号車ベストモータリングレーシングチーム、50号車CAR GRAPHIC RACING TEAMら優勝候補として注目される各チームがレースをリード、これらのチームをマツダの12号車人馬一体と30号車チーム・サポート・カンパニーズが追いかける展開になりました。マツダの人馬一体は着実な走りと巧みな戦略により、トップ集団との距離を徐々に縮め、38周目に前田育男常務執行役員から実研ドライバーのトップガンである佐藤政宏へと交代するとついにトップへ浮上。その後、廣瀬一郎専務行役員、ロードスター主査の齋藤茂樹、そして開発ドライバーの寺川和紘とドライバー交代をしながら実に3時間以上に渡り首位を堅守しレースを牽引していきました。

 

 

人馬一体のドライバーのひとりでありスタートドライバーを務めた前田育男常務執行役員は「(ロードスターは)パッと乗ってもそれなりに誰もが乗りこなせるすごく楽しいクルマなんですが、実はその上に行こうと思うと結構奥が深いんです。ドライビングを向上させるための引き出しを広げようと思う方であれば、最適な訓練用マシンになるでしょう。僕もこのクルマに乗りはじめて、レースを続けてきたことで、自分のスキルが少しづつあがっていると感じています」とロードスターの魅力を語ります。

 

 

レース終盤は例年通り波乱の展開に

最終ラップまで手に汗握る白熱のレースに

 

4耐は毎年レース終盤にドラマがあります。これは路面状況や車両コンディションの変化、ドライバーの疲労、そして限られた燃料をどのようにマネージメントしてレースを走り切るかなど、耐久レースは時間の経過ととともにレースがより難しくなっていくからです。今年も残り30分を切ったところで3度の優勝経験があるベストモータリングレーシングチーム、8度の優勝経験のあるNEKO RACING TEAMが優勝争いから脱落、その一方で緻密な戦略で着実にラップを重ねてきた813号車J-wave Racingが人馬一体を捉えトップへと浮上します。残り10分、CAR GRAPHIC RACING TEAM18号車We are driver45号車Team aheadらがスローダウンするなか、トヨタイムズROOKIE RACINGが凄まじいラップタイムを連続で叩き出し前方を走るマシンを次々と捕らえ2番手にまでポジションをアップ。同じく初参戦の100号車LOVE CARS!TV! RACING TEAM3番手にまで浮上する走りを見せ会場を盛り上げます。ファイナルラップまで目が離せないバトルは続き、午後8時に4時間に及ぶレース終了を告げるチェッカーフラッグが振られました。記念すべき30回目の4耐を制したのは813号車J-wave Racing2位に104号車トヨタイムズROOKIE RACING3位に100号車LOVE CARS!TV!RACING TEAMというトップ3となり、マツダの人馬一体は過去最高の4位入賞、チーム・サポート・カンパニーズは5位でレーを終えました。 

 

 

 

この先30年、40年と4耐を通して

マツダの走る歓びを発信していきたい

 

4位入賞でレースを終えたロードスターの斎藤茂樹主査は「本当に楽しいレースでした。デットヒートを展開し、残り30分までトップを走って、追いかけてくるクルマを、燃料をキープしながらリードして・・・最終的には4位だったのですが、今回の僕らの目標は入賞でしたらから4位は素晴らしい成績だったと思います。4位を獲ると次は絶対表彰台を目指したくなりますね。来年は作戦を練って必ず表彰台に上がれるように頑張りたいと思います。この30周年という記念すべきイベントで、マツダが入賞できたというのは本当によかったと思います。ファンの皆さんに感謝を込めて・・・ありがとうございました!」と30年間ロードスターを支えてくれてきたファンの皆様への感謝を述べました。

 

4耐を終えマツダの丸本明代表取締役社長兼 CEOはこう締めくくりました。「皆さんが協力しながら真剣に勝とうとしている姿、そして心からレースを楽しんでいる姿を拝見して、このレースは感動と笑顔の溢れる素晴らしいレースだと改めて思いました。マツダは来年創立100周年を迎えます。ロードスターはマツダの歴史のなかで、非常に大切なクルマです。来年、31回目の大会も最大限のサポートをお約束したいと思いますし、次の30年、40年にむけて、実行委員会、メディアの皆さんのお力を借りて、マツダの掲げる走る歓びをこの4耐を通してみなさんに発信していきたいと思っています」。

(ロードスターの前で握手をするトヨタ自動車の豊田章男社長(左)とマツダの丸本明社長(右))

(トヨタイムズのレースレポートはこちら)

 
 

 

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