ルマン優勝30周年メモリアルサイト
マツダは昨年創業100周年を迎えました。創業以来、それは挑戦の連続でした。
その「飽くなき挑戦」を象徴するのが、世界で誰もなしえなかったロータリーエンジンの実用化、
そしてその技術で世界の頂点に挑んだ、ルマン24時間レースへの挑戦でした。
1991年、ロータリーエンジンで世界初、日本メーカーでは初めての総合優勝を遂げることができました。
2021年、30年目の節目を迎えるにあたり、
当時をご存知無い方にもその歴史や技術、人々に触れていただきたく、記念サイトを作りました。
是非 お楽しみください。
MAZDA 787B
1991 LE MANS WINNER
1991年のルマン24時間レースで日本車初の総合優勝を果たしたマツダ787Bは、車両重量830kgの軽量ボディに最高出力700PSの4ローターエンジンを搭載し総合優勝しました。優勝ドライバーは、フォルカー・バイドラー(ドイツ)/ジョニー・ハーバート(イギリス)/ベルトラン・ガショー(フランス)の3名でした。
R26B
4 ROTOR ROTARY ENGINE
量産13Bエンジンと同じローター形状をもつローターハウジングを4枚直列配置したレース用自然吸気エンジン。ペリフェラルポート吸排気、電子制御インジェクション、リニア可変吸気システム、3プラグ点火、セラミック製アペックスシールの採用などで、700馬力を発生。また、高回転域でパフォーマンスを発揮する4ローターエンジンは特有の甲高いエキゾーストサウンドが特徴です。
1991年ルマン優勝
ロータリーエンジン車による
「飽くなき挑戦」ルマンヒストリー
1970年のルマン24時間レースに出場するベルギーのプライベートチームにファクトリー仕様の10Aエンジンを提供するところからマツダのルマン挑戦はスタートしました。
また、ディーラーチームだったマツダオート東京が1974年に12Aエンジンを搭載した2座席スポーツカーで出場して、さまざまなトラブルを経験。その後、マツダオート東京はサバンナRX-7に13Bエンジンを乗せたレースカーを開発し、1979年に再挑戦を果たします。
しかし、悔しい予選落ちを喫し、その後1981年から毎年ルマンに挑むこととなりました。
マツダオート東京モータースポーツ課は、1983年にマツダ傘下のファクトリーチーム「マツダスピード」に発展。グループC2時代、3ローターエンジン時代を経て4ローターエンジンを搭載するレースカーを開発するに至りました。
挑戦のアーカイブ:各出場車両名をクリックすると、車両画像をご覧いただけます。
年 | 出場車両 | マシン仕様 | レース結果・エピソード |
---|---|---|---|
1970 | シェブロンB16マツダ![]() |
2座席スポーツカー(10Aエンジン) | リタイヤ(エンジントラブル) 映画「栄光のルマン」とマツダ ショートエピソード:シェブロンB16 |
1974 | シグマMC74マツダ![]() |
2座席オープンスポーツカー(12Aエンジン) | 規定周回数不足 |
1979 | マツダRX-7 252i![]() |
IMSA GTO仕様RX-7(13Bエンジン) | 予選不通過 ショートエピソード:RX-7 252i |
1981 | マツダRX-7 253 2台![]() |
IMSA GTO仕様RX-7(13Bエンジン) | 2台共リタイヤ(駆動系) ショートエピソード:RX-7 253 |
1982 | マツダRX-7 254 2台![]() |
IMSA GTX仕様RX-7(13Bエンジン) | 初完走(14位)/リタイヤ ハンドリングマシンだったRX-7 254 |
1983 | マツダ717C 2台![]() |
グループCジュニア(13Bエンジン) | クラス1-2フィニッシュ マツダ717CのCD値は驚異の0.277 |
1984 | マツダ727C 2台![]() |
グループC2(13Bエンジン) | クラス4位・6位 |
ローラT616マツダ 2台![]() |
グループC2(13Bエンジン) | クラス優勝・3位 | |
1985 | マツダ737C 2台![]() |
グループC2(13Bエンジン) | クラス3位・6位 マツダ737Cのボディが真っ白なわけ ショートエピソード:マツダ737C |
1986 | マツダ757![]() |
IMSA GTP(13Gエンジン) | 2台共リタイヤ(駆動系) ショートエピソード:マツダ757 1986年 |
1987 | マツダ757![]() |
IMSA GTP(13Gエンジン) | 7位/リタイヤ(エンジン) 日本車初のシングル入賞を果たした マツダ757 |
1988 | マツダ767 2台![]() |
IMSA GTP(13J改エンジン) | 17位、19位 ショートエピソード: マツダ767 1988年 |
マツダ757![]() |
IMSA GTP(13Gエンジン) | 15位GTP優勝 | |
1989 | マツダ767B 3台![]() |
IMSA GTP(13J改エンジン) | 7位、9位、12位 ショートエピソード:マツダ767B 1989年 |
1990 | マツダ787 2台![]() |
IMSA GTP(R26Bエンジン) | 2台共にリタイヤ(エンジン、電気系) マツダ747や777が存在しないのは |
マツダ767B![]() |
IMSA GTP(13J改エンジン) | 20位GTP優勝 ショートエピソード:マツダ787 |
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1991 | マツダ787B 2台![]() |
グループCカテゴリー2(R26Bエンジン) | 優勝、6位 マツダ787-787Bの カーナンバー55番とは 2011年の”復活”史上最大のレストアプロジェクト&サルトサーキットの激走! 語り継がれる三次試験場内の「飽くなき挑戦」石碑 |
マツダ787![]() |
グループCカテゴリー2(R26Bエンジン) | 8位 | |
1992 | マツダ MX-R01 2台![]() |
グループC(3.5L V型10気筒 MV10) | 4位/リタイヤ(アクシデント) MX-R01とは |
世界一過酷な耐久レース
「ルマン24時間レース」

ルマン市は、フランスの首都パリの西200Kmの位置にあるロワール地方サルト県の中核都市です。
24時間レースは、市の郊外にある常設のブガッティサーキットと接続する一般道を年に一度閉鎖してできる13.6km(91年当時)のサルトサーキットが舞台となっています。第1回大会は第一次世界大戦後の1923年で、以後戦時中の一時期を除いて毎年6月に開催されている伝統の耐久レース。アップダウンが少なく、ストレートと高速コーナーのあとにフルブレーキングのタイトコーナーがあるなど、マシンにもドライバーにも過酷なコースとして知られています。かつては貴族が勇気を証明するためにこのレースに出場し、第二次大戦前にはナショナルカラーを施した車両が競い合う代理戦争の様相を呈した時代もありました。主に戦後は、高性能車のパフォーマンスを誇示する自動車メーカーがここで好成績を上げることに執心し、フェラーリvsフォード、ポルシェvsランチャなどの名バトルが繰り広げられました。ここから名車の名声を得たものには、ポルシェのほか、メルセデスやジャガー、アストンマーチン、アルピーヌルノーなどが挙げられます。
1980年代後半からは日本の自動車メーカーもこぞってルマン挑戦を表明し、「ル・ジャポン・アタック」(日本の総攻撃)と揶揄されるようになりました。その後GT全盛時代を経て、主催者ACO(西部自動車クラブ)が推奨するLMP1がメインカテゴリーとして成長。ハイブリッド車の誘致などで話題を集めています。2000年代のアウディLMP1時代のあと、トヨタ自動車が参戦を再開し、2018年から3年連続で総合優勝を果たしています。
